産後の食生活について

ご出産おめでとうございます。

赤ちゃんとお母さん

これから可愛い赤ちゃんとの育児の始まりです。産後のお母さんが元気に過ごすための食生活のポイントをあげてみました。

yasai 母乳の出る量にもよりますが、授乳期には約450Kcal 多く必要です。一日に摂りたい食品とその量は、次のページの通りです。一つの栄養素をいろいろな食品から少しずつ摂取することにより、アレルギー予防にもなります。

1. バランス良く規則正しく、1日の食事は30品目が目標

授乳期に必要な栄養量 :2150Kcal

「母乳が良く出るようになる食品はありますか」という質問をよく受けますが、基本的に、これを食べれば母乳がよく出るようになるという便利な食品はありません。母乳の分泌をスムーズにし、質を高める為に大切な事は、栄養のバランスのとれた食事をすることです。朝食を摂らないという方も、沢山いると思います。しかし、朝食を抜いてしまうと食品の品目が少なくなり、その結果、貧血・骨密度低下・肥満につながることもあります。

目安

産後の食品所要量の目安

2. 水分は十分に摂りましょう

汁物

清涼飲料水等、糖分の多いものは避けましょう。母乳は90%近くが水分なので、授乳中のお母さんは水分をとられてのどが渇きます。1回に100ccの母乳が出るとして、1日に8回の授乳で800ccもの水分が失われることになります。その分を補給しないと、便秘になったり皮膚がかさついてくることもありますので、白湯、麦茶等で水分はしっかり摂りましょう。また、薄味で温かい野菜たっぷりの汁ものは栄養と摂れて体も温まり母乳の分泌を促します。

3. 授乳期は母乳の量と相談してエネルギーコントロールをしましょう

パン

授乳期に必要とされている450Kcal増(非妊時と比較して)という所要量は、赤ちゃんの栄養が母乳だけの場合の計算です。ミルクを足している場合や、人工乳のみの方、または、離乳食に移行して、授乳量が減っている場合も、その分エネルギーを差し引いて摂るようにしましょう。

4. 産後の体重の減り具合を時々チェックしてみましょう

産後3週間で約3~4kgの脂肪が残りますが、これはこれから必要なエネルギー分です。母乳の方は約6ヶ月、ミルクの方は3~4ヶ月で妊娠前の体重に戻るのが良いでしょう。

妊娠中
妊娠中
出産後 産褥期
出産後
産後3週目
産後3週目

産後も、妊娠中と同じように、体重をノートやアプリに記録してみましょう。お腹をつまんで、皮下脂肪の付き具合をチェックしてみてください。電話帳くらいの厚さがあったら、食生活を見直しましょう。背中はぜい肉の付きやすいところですから、5cmもつまめたら要注意です。体脂肪が測れるヘルスメーターがあれば測ってみましょう。女性の体脂肪率は30%が上限の目安です。

5. 授乳期は脂肪が付きやすい時です

bread

主食、油、砂糖類を摂り過ぎないようにしましょう。産後4週目の体重が妊娠前と比べて3kg多い程度が標準です。それ以上の方、また、妊娠中に太りすぎた方は、授乳中でもエネルギーの摂り過ぎに注意してください。減らすところはエネルギー源となる砂糖、油、穀物の3つです。

エネルギーの調整は、砂糖・油・ご飯の準に減らしましょう
砂糖 大さじ1杯 40Kcal 缶ジュースやコーラは10%以上が糖分なので要注意
大さじ1杯 80Kcal 全くゼロにはできません。栄養素の代謝にも影響するので1日大さじ1.5~2杯は確保しましょう
ご飯 1杯 256Kcal エネルギー源となる他、ビタミンB1、B2、ミネラル、食物繊維の供給源としても欠かせないため、1食に1杯は確保しましょう
カロリーダウンのテクニック(油を減らすため 焼く・蒸す・ゆでるを基本に)
yajirusi
ゆでる
茹でる

ゆで汁の中に余分な脂が流れ出ます。旨みが抜けないよう必ず熱湯でゆでましょう

網焼き
網焼き

焼いているうちに、余分な脂肪が網の下に落ちていきます

蒸す
蒸す

肉の脂が溶け出ていきます。ゆでるより、旨みや栄養分が抜けにくい

炒める
炒める

フッ素加工のフライパンを使えばもっと油が少なくてすみます

揚げ物はもっと高カロリー
とんかつ
唐揚げ

衣が油を吸収し、ぐんとエネルギーがアップします。衣はできるだけ少なめに。

6. じっくり味わうことで早食いや肥満をふせぎましょう

大食いの人、太りやすい人は食べるのが早いようです。時間をかけて食べると、体内の血糖値が上昇してきて食欲を抑えます。早食いをすると、血糖値が上昇する前にかなりの量を食べてしまうことになります。30回噛むと良いと言われていますが、難しい場合は、飲み込む前にもう10回噛むように意識してみてください。

7. 卒乳後は食べる分量を減らしましょう

母乳が十分出ている時は、相当食べ過ぎなければ体重は増えません。母乳を飲ませていたのに何kgも太ってしまったという方は、おそらく卒乳後も食事の量がそのままだったのではないでしょうか。その上間食を摂ったり、運動不足で消費エネルギーが低くなっていたことが考えられます。そういった生活を続けていれば産後の太りすぎは起こるべくして起こります。

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8. 濃い味付けはご飯の量を増やします

妊娠中に同じように(1日10gの塩分)で薄味で調理しましょう。塩分を控えて正しい食生活を身につけることが、食育の第一歩です。スパイスやハーブを風味づけに使用したり、味にメリハリをつけてみましょう。

seasonings

9. 朝食、昼食はしっかり摂り、夕食は軽くします

甘いもの

夜7時以降に甘いお菓子やスナック菓子は食べないようにしましょう。

10. 妊娠中と同じように、引き続き体重管理を続けましょう

産後速やかに元の体重に戻り、健康なお母さんでいる為にも、妊娠中の一生懸命な気持ちを思い出して頑張りましょう。

  1. 普段の(非妊娠時)の適正エネルギー量を知っておくことも大切です。
  2. ① 標準体重 = 身長(m) × 身長(m) × 22
  3. ② 1日の摂取エネルギー量 = 標準体重 × 25~30Kcal(身体活動量

:身体活動量

軽労作(デスクワークが主な人や主婦) 25~30Kcal
普通労作(立ち仕事が多い仕事の人) 30~35Kcal
重い労作(立ち仕事が多い仕事の人) 35Kcal
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当院で出産された皆様が、入院している間に、自然に食生活をリセットして、退院後の健康管理とお子様の食育に取り組んでいただくことを願っています(塩分の摂りすぎは、過食症や肥満に加え、お酒の飲み過ぎの原因ともなり、生活習慣病のリスクを高めます。これを機にご家族全員で減塩に取り組んでみてはいかがでしょうか)。

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